
こんにちは。 食に関する「常識」は、時代と共に少しずつ変化していきますね。
私が子どもの頃は「卵は一日一個まで」と言われていましたが、今ではいくつも食べてもOKと言われていいます。かつて健康の敵と言われた塩や油も、現代では「良質なものを適量に」というのが新常識。特に油は良質なものをしっかり取ることを推奨する研究も多いようです。
こんなふうに、かつての悪役が汚名を返上していく中で、一つだけ、昔からずっと変わらず「悪役」の席に座り続けているキングオブ悪役、それが「精製された白砂糖」です。
なぜ、白砂糖だけが、これほどまでに厳しい視線を向けられ続けるのでしょうか。その理由の核心に、少し踏み込んでみたいと思います。
事実:世界的な「白砂糖離れ」
まず、これは私たちの気のせいではありません。世界が白砂糖と距離を置き始めているという、動かしがたい事実があります。
日本人一人が一年間に消費する砂糖の量は、この半世紀で約28kgから約15kgへと、ほぼ半分になりました。これは、健康への意識の変化がいかに大きいかを物語る数字です。 さらに、WHO(世界保健機関)が世界中に警鐘を鳴らし、国によっては「砂糖税」が導入されるなど、その流れは加速する一方です。
背景:なぜ、白砂糖はこれほどまでに避けられるのか?
では、なぜ白砂糖だけが、これほどまでに「特別扱い」されるのでしょう。 卵や塩が「質」によって評価を変えたのに対し、白砂糖の評価が揺るがないのは、その成り立ちと、私たちの体への少し”厄介な”影響に理由があります。
私たちの心と体に、静かに働きかける力
白砂糖が他の食材と決定的に違うのは、ミネラルなどを削ぎ落として純度を高めた、「精製された糖質の結晶」であるという点です。その純粋さゆえに、私たちの体に素早く、そして強く作用します。
その強い習慣性から、研究者の間では「マイルドドラッグ」と表現されることさえあります。これは、白砂糖が単なる食品ではなく、私たちの脳に直接働きかけ、もっと欲しくさせる力を持っていることを示唆しています。
血糖値の乱高下という、見えない負担
精製された白砂糖を摂ると、体の中では血糖値が急上昇し、それを抑えるために今度は急降下するという、ジェットコースターのような乱高下が起こります。 この血糖値の激しい波は、私たちが自覚している以上に体に負担をかけ、日中の強い眠気や、心の浮き沈みの一因になるとも言われています。
また、腸内にいる悪玉菌にとって、白砂糖は格好のごちそうです。腸内環境のバランスを乱すきっかけにもなりかねません。
豊かになった「甘さ」の選択肢
こうした背景もあり、私たちは白砂糖以外の「甘さ」に目を向けるようになりました。 はちみつやオリゴ糖、メープルシロップといった、自然の恵みから生まれる甘味料。あるいは、「低糖質」や「グルテンフリー」といったライフスタイルの中で、そもそも白砂糖を必要としない食生活を選ぶ人々も増えています。
これからの「甘さ」との付き合い方
さて、ここまで白砂糖が私たちの心身に与える影響をお話しすると、まるで「絶対悪」のように聞こえてしまったかもしれません。
しかし、物事には常に様々な側面があります。 例えば、特定の糖質の吸収が苦手な「FODMAP」体質の方にとっては、一般的によいとされるオリゴ糖やはちみつよりも、実は白砂糖の方がお腹に優しい、というケースもあるのです。
そして何より、あの真っ白な砂糖から作られるケーキやお菓子には、理屈抜きの強烈な魅力があります。「食の楽しみ」は人生の大切な要素だと思います。
大切なのは、その特性をよく理解してバランスを取ること。その上で、自分の体や心と丁寧に相談しながら、量を調整したり、他の甘味料と使い分けたりして、上手に付き合っていくこと。
私も実はスイーツやコーラなど砂糖がガッツリ入ったものも好きです。
楽しむところは楽しんで、バランスを取りながらうまくやっていきたいですね!